準備物、模写のしかた
絵手本の「デジタルアーカイブ模写」をしていきます。
自宅で、なるべく簡単にできる方法を考えていきたいと思います!
用意するもの
1、紙 にじまないもの。書道用の半紙のような、下が透けるものだといいです。(下描きを写すので…)
左:にじみの少ないとある、書道用半紙。100枚入り420円で買いました。
右:中国の紙。京都にある常設中国物産展さんで100枚600円で買いました。「にじみなし」と書かれています。私は今回これを使っていきます。
半紙類がなければコピー用紙などでもいいと思います。
2、筆
写経用の唐筆(中国の筆)です。書道用品屋さんなどにあります。私は中国物産展さんで一本400円で買いました。ネットで束売りもしています。
3、墨 今回はお手軽な墨汁を使います。
種類はなんでもいいのですが、古梅園製の濃墨は、磨った墨と変わらないくらいきれいな発色をするので好きです。200ml 800円。墨汁の中では比較的高級品ですね。
筆や墨汁のない方は、筆ペンでも大丈夫です。
4、二枚以上の絵皿 墨や水を入れるのに使います。
左の絵皿がなければ右のような使い捨てプラスチック皿で問題ないです。
皿は複数用意して、一枚には濃い墨をそのまま、
ほかのものには水を入れて、墨を薄めたり、乾いてきた筆の先を水にひたしたりするのに使います。
それから、プラスチック製スプーンか、スポイトもあると、皿に水を入れるのが楽です。
5、筆洗…皿に足すための水を入れておいたり、筆を洗ったりするのに使います。
左は陶器製の筆洗ですが、右のような空き容器で充分代用できます。
6、パソコン、iPad のようなディスプレイのある機器…これは必須です。
7、下描き・ためし描き用の紙(コピー用紙など)
8、雑巾
・・・
以上です。
筆や墨に抵抗のある方は、まずはコピー用紙と鉛筆から、というのでもOKです。
あっ、汚れてもいいように、机には新聞紙かなにか敷いてください!
それでは始めていきたいと思います。
■デジタルアーカイブを探す
Spreadシート版 絵手本デジタルアーカイブリスト から気になるタイトルを見つけ、選んでみましょう。リンクがたくさんありますが、どんどん開けて、楽しく描けそうなものを探していきます。
橘守国の「絵本写宝袋」を選びました。ビューアは新日本古典籍総合データベースを使用します。
画面下部にあるスクロールバーを利用してページを繰っていくと、どんどん絵が出てくるので、どのページを描きたいか選びます。
十二単の平安貴族を描くことにします。
右上の「全画面表示」を押して拡大しました。
■模写スタート
お皿に墨汁を入れ、それでは始めていきましょう。
おっと、いきなりは緊張するのでまずはコピー用紙に下描きをします。
絵をよく見て…
だいたいこのへんかなと思うところに印を付けました。
下描きなので、気楽に描いていきます。ずれていても、本番では上の紙をずらしながら描けばいいので大丈夫です。
本番の紙を重ねました。ちゃんと下が透けますね。
いよいよ描いていきます。
形が現れてきました。
失敗の線がたくさんあるんですが、遠目だと分からないでしょう?
気にしないことが大切です。
このとき、描きやすいように、二つの皿を使って、筆に含んだ墨の濃度をつねに調節します。
別の紙にためし描きしつつ、
筆が紙の上で気持ちよく滑る具合を探していきます。
あれ?
よく見ると、顔のところが擦れて不鮮明・・・
↓
■ほかの模本との比較
リストに戻り、同じ本の、別のアーカイブを探します。
16ページ目にありました。
今度は顔がきちんと映っています。
このようなお顔でした。
できた!
直線を引くときは筆を二本このように持ち…
二本をしっかり固定し、軸になるほうの筆を定規の下辺にあてて横に滑らせます。
(すみません、影になっていますね💦 …わかりますか?)
ふう、なんとか一人(女房)ができました。
疲れたのでおやつを食べます。
そういえば、二人目(姫)の輪郭を描くときに結構失敗していました。
気にしないことが大事です。
さて、ラストスパート!
柄を描くとだいぶさまになりますね。
文字は書いても書かなくてもいいと思いますが、書いたらかっこよさそうなので頑張って書きます。
文字も全部描けました!
お疲れさまです。完成~!
↓国文学研究資料館の古典インタプリタ・有澤知世さんと一緒におこなった「デジタルアーカイブ模写」配信動画です。ここで紹介した例よりは簡単なお手本(葛飾北斎の『略画早指南』)をもちいて描いていきます。
もしよろしければあわせてご覧ください。